仮設足場
屋根足場
ロープ
屋根の勾配(傾き、傾斜)が急な場合は、屋根足場を設置する事があります。屋根足場の設置には別途費用が掛かりますが、足元が安定しない屋根の上でも安全に作業する事が出来るため、屋根足場は必要です。ロープ作業では場合により品質に大きく差が出ます。
下地処理
一般的な素地調整の内容 トタン屋根 (ケレン作業)
素地調整とは塗装する箇所をケレンや洗浄をしてキレイな塗装素地を作ることです。このケレン作業や洗浄を入念にしなければ後々の不具合に直結し、塗料本来の性能が十分に発揮されません!!
具体的にどのような道具・工具・機械を使い素地調整をするのか、下記の内容を参考にしてください。
4種ケレン |
板金屋根の錆や鳥の糞・洗浄では綺麗に除去できない汚れをサンドペーパー・不繊布研磨材・カワスキなど手工具を使用し除去します。その時に塗料の密着を更に良くするために、板金部全体の足付け処理も同時に行います。 |
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不繊布研磨材ケレン
カワスキでのケレン
サンドペーパーでのケレン
3種ケレン |
強い錆や旧塗膜の剥がれの面積が多いときにするケレンです。4種ケレンでは素地調整が出来ない場合は手工具のほかに電動工具(グラインダー)を使用し活膜を残し死膜を除去したり頑固な錆を落とす作業です。 |
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グラインダーケレン
不繊布研磨材ケレン
カワスキ
下記は特殊な素地調整の内容(ケレン作業)参考です。
2種ケレン |
電動工具(グラインダー)を使用し、錆びている部分はもちろんのこと既存塗膜を全面除去。 |
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1種ケレン |
サンドブラストまたはショットブラストという機械を使用し、既存塗膜を完全除去するというケレン方法です。 |
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代表的な屋根塗装の手抜き工事例
ケレン処理はされていますが、錆止めを塗らずに上塗りのみの施工例
錆止めを塗っていますが、通常の素地調整とケレン処理がされていないため、塗膜が剥がれてしまっている施工例
錆止めを塗られていますが、上塗りの希釈を多くして塗られているため、薄い塗膜の施工例
塗り替え工事の依頼を受け、現場調査に伺うと上記の写真のような手抜き工事や施工ミスを頻繁に目にすることがあります。このような施工を行う業者に依頼し、失敗したと言う施主様は『しつこい営業に根負けしてしまった』・『他の業者より安かった』・『営業トークが素晴らしかった』とおっしゃることがほとんどです。また、訴訟を抱えている業者もいますので、施工した仕事に責任を持つ業者選びをお勧めしたいしたいとおもいます。
素地調整 洗浄
頑固な汚れや塵・埃を取り塗装面を綺麗にしてから塗装します。
トタン部を洗浄水圧150Mpaの防音型洗浄機とトルネード洗浄ガンを使用し素地を綺麗にします。この洗浄作業ですが施工業者によって順番が異なる事があります。弊社では、屋根の痛み具合によって、洗浄の順番をケレン後かケレン前にするか、実際に事前調査や足場を設置してテストケレンをしてから、現場の職長が判断します。また、もし洗浄後に錆が発生した場合は、その箇所を再度不繊布研磨材でケレンするようにしています。
高圧洗浄全体
トルネードノズル使用
※補足
素地調整は、職人や施工店によって施工のやり方が異なりますが、塗料メーカーから出されている下地調整法は、「旧塗膜で剥がれかかった部分、ふくれ、錆発生部分などは電動工具を主体に皮スキ・金属ワイヤーブラシなどのケレン具で除去し、チョーキングしたところ、ゴミ汚れなどは研磨布などで除去した後、高圧洗浄を行い、乾燥させて清浄な面とする。」と記載されていますので、しっかりした素地調整をしなければなりません。
*注意:トタン屋根の場合メーカーの仕様によっては洗浄をするという記載がない場合があります!!
下塗り
錆止め塗り
錆止めを塗ることにより、錆の発生を抑え、板金・上塗りとの定着を高める基本中の基本の工程です。この工程を省くと、剥がれ・錆・密着不良といった不具合が発生する事が多々あります。また、2液型の錆止めに至っては、錆止めを塗り1週間以上放置してしまうと暴露時間が経過し密着不良の原因により上塗りが剥がれてしまう恐れもあるので、留意しながら塗らなければなりません。 錆止めの種類は沢山ありますが、一般建築物で使用されている錆止めの種類を下に記載します。
使用錆止め種類と仕様の変更・補足
近年よく使われているのが、エポキシ樹脂系の錆止め塗料です。弊社で使用している錆止め塗料の90%が2液型のエポキシ樹脂錆止めで、過去に施工したお客様宅の定期点検で取れた耐久性のデータが良かったので使用しています。(2022年9月現在)
また、弊社では上塗り塗料と同系色の錆止めは使用しないように仕様も変更しました。実は錆止めの色が10種類ほどあります。錆止めと中塗りを同系色で塗っても手抜き・塗り忘れがはっきりとわかりません。希釈を多くした水のような塗料を塗ってカスレなどがあっても素人目ではわかりません。
そのため、普段から技術を向上させるべく、弊社では共色の錆止めは使用しないようにしています。
塗料は半製品ですので、確かな技術と施工する職方のモラルで確かな製品にできるかが決まるからです。
刷毛入れ
ローラー塗り
錆止め完了
中塗り
クロス貼り・中塗り
上塗りの説明
私がこの業界に入った平成3年頃は、屋根塗料はまだアクリルやウレタンが主流でしたが、平成10年頃から段々とシリコンが使用されるようになってきました。今現在(令和6年)も主流はシリコンと言っても良いと思います。また、屋根のウレタン・シリコン・フッ素塗料はメーカー各社、ランクはなく、外壁塗料のようにラインナップやランクはありません。あるのは1液型と2液型です。
ちなみに、シリコン樹脂塗料は1液・2液型ともに、各社さほど耐用年数に差はありませんでしたが、色によって1~2年程度の耐用年数の誤差がありました。また、弊社では15年ほど前からフッ素塗料を使用してきましたが、耐用年数は不思議と各社が出している塗料によってバラつきがありました。そのため、フッ素塗料に関しては実際に15年の耐用年数をクリアしたAGC社のフッ素を使用しています。
※上記はあくまでも一般的な数値ですが、職人レベルによっては上記以上の数値を出すことが可能です。
刷毛入れ
ローラー塗り
なぜ中塗りが必要なのか
下塗りの錆止めは耐候性に優れていません。メーカーも耐候性に特化させるのではなく錆を防ぐ事に重きを置いて作っています。錆止めの耐候性を上げるためには様々な添加剤を入れなければなりません。そうすると、材料費が高くなったり本来の防錆の効果が低くなってしまいます。そのため、錆止めの劣化を進行させる太陽光の紫外線・赤外線・水・酸素・二酸化炭素などに触れさせないための被膜を作らなければなりません。その被膜の基礎塗りと考えて頂きたいと思います。
上塗り2回目
上塗り
何故上塗りを2回塗るの? 永く持たせるための仕様です。上記で説明した基礎塗りした塗料を紫外線・太陽光の赤外線・水に触れさせないため再度被膜を作り、隠ぺいさせることによって錆の発生や減退色のスピードを抑える事のできる強い塗膜厚を形成することができます。この下塗り・中塗り・上塗りの塗装の3工程を行います。この時に作業性の向上や、材料代を抑えるために、通常以上の希釈をしてしまったり、薄く塗ってしまうと耐用年数が激減してしまいます。標準仕様である乾燥時間・希釈率・塗り回数・標準使用量を塗布することで、初めて半製品である塗料が製品になります。また、その製品は、技術・経験・知識・モラル・心意気がある職人が施工してはじめて、製品に更なる付加を与えるのです。
2回目の刷毛入れ
2回目の塗装
完成
備考
屋根塗りに足場の設置が必要ない場合でも最短で4日間が必要です。 ※1日1工程を厳守するのが萃明流
完璧な条件がそろえば(人数と気象条件)最短4日で完工できますが、ほとんどが5日~7日間の日数が掛かります。
足場設置 → ケレン・洗浄 → 錆止め → 中塗り → 仕上げ前の是正 → 上塗り → 足場解体
上記の工程は、必要な塗装乾燥時間を十分にとる必要があります。洗浄からのインターバルは一晩以上の乾燥時間が必要です。メーカーでは、屋根塗装の塗り重ね乾燥時間を20度~25度の気象状況であれば2~3時間のインターバルで大丈夫と言いますが、それはあくまでも塗料の溜りがなかった場合です。現場では所々に多少の塗料溜りが存在しているかもしれないので、弊社では1日1工程と決めて塗り重ね乾燥時間を、使用材料にもよりますが、8時間以上6日以内としています。
洗浄を行い、その日の内にブロアーなどで水を飛ばし錆止めを塗る職人や、指触乾燥したからといって1日に2工程・3工程を施工する施工店もありますが、それは間違いです。
まとめ
安いものには、理由があります。単に屋根を塗装するといっても、これだけの工程順序があります。気を付けなければならない事は、気象条件や材料の希釈率によっても作業効率や寿命に差が出る点です。完全に乾燥していなければ下塗りや中塗りを溶かしてしまい、標準塗膜厚の確保ができない場合など、仕上がりが悪くなってしまうケースが多々あります。塗り回数を減らしたり、希釈材を多く入れて作業性を良くして薄く塗ってしまうと、耐久性や耐候性能が著しく下がってしまいます。私たちの仕事は、5年先10年先に結果がでます。きちんと工事保証書を出してくれる業者と営業実績が最低でも15年以上の実績のある会社や建設業許可登録し、経営審査をきちんと受けている会社・技能士資格を保持している職人が在籍している業者にお願いすることをおすすめいたします。
会社にどんなに良い職人がいても、会社の体質やモラルの欠如といった社風が蔓延していれば、自ずと施工不良に繋がります。(食品偽装のような)そのような社風のない業者を探してください。
一文字葺き | 北海道で多く用いられている葺き工法です。 重なっている部分が錆びてしまっていると、塗装だけでは改修が困難です。 早めの点検・メンテナンスをお勧めします。 |
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